つみきのいえ 12分のアカデミー賞受賞作

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突然ですが、「つみきのいえ」を知っていますか?
アカデミー賞を受賞した、わずか12分の短編アニメ映画です。

ぜひ大人に観てほしい作品です。

「 つみきのいえ 」とは

2008年に発表された、加藤久仁生監督による日本の短編アニメーション作品です。
第81回アカデミー賞 短編アニメ賞を受賞。この他にも国内外で20ほどの賞を受賞しています。

加藤久仁生監督が描いた1枚のイメージ画を見て、脚本家の平田研也氏がストーリーを考案しこの物語は生まれました。
セリフやナレーションは一切なく、終始心地よい生活音と自然の音、優しい音楽が静かに流れます。
鉛筆画をベースに、水彩の淡い色の絵が全編手書きで描かれていて動く絵本のようです。

あらすじ

水没した町の一軒家に一人で暮らす老人の物語。
水位が上がるにつれて、家を上へと増築しながら暮らしてきました。
ある日、水没した下の階に愛用のパイプを落としてしまい・・・

予告

見どころ

海外の絵本のような世界観と温かいタッチの絵に合わせて、生活音と共に静かに流れる音楽がとても心地よいです。
水没した町という設定は、温暖化による海面上昇という環境問題がベースにあるようです。
その環境の中で主人公のおじいさんは淡々と生活しています。とても現実的で人間的です。
ですがこのアニメは、特に環境問題に対して何か提起しているわけではありません。
一人の老人の物語です。

映画 と 絵本 での違い

【引用】つみきのいえ|数ページ読める|絵本ナビ : 平田 研也,加藤 久仁生 みんなの声・通販 (ehonnavi.net)

映画の他にも絵本がありますが、この2つを比べると世界観が違って見えます。

例えば、映画の方のおじいさんは少し孤独感があるというか、哀愁漂う感じで描かれているように感じました。
全体的にとてもシンプルで大人向けに作られていると思います。

対して絵本は、明るい絵の描き込みが多くおじいさんの現在の生活ぶりや、今までの人生が細かく描かれています。
映画と絵本のおじいさんは、陰キャと陽キャぐらい印象が違って見えました 笑

DVDには本編と、女優・長澤まさみさんのナレーションが入ったバージョンが収録されています。
ですが、最初はナレーションなしの本編を観ることをおすすめします。
その後、絵本を読むとおじいさんの背景がわかって2倍楽しめます。

こんな人、こんな時に観てほしい

映画の方は大人に観ていただきたいです。 この主人公のおじいさんと同じくらいの年齢の方にもおすすめです。
人生いろいろ、山あり谷あり谷底も経験した年齢の方には沁みるのではないかと思います。
「泣ける!」や「感動的!」や「ドラ泣き!」を前面に出している作品にイラっとする方にもおすすめできます 笑
ちなみに精神状態がどんな時に観てもいいと思います。

感想(※ネタバレを含みます!)

※この先ネタバレを含みますので、未視聴の方は視聴後にお読みください。

どんな環境になっても悲観的にならず気ままに余生を楽しむ。
未来じゃなくても、いろいろなトラブルが起こる人生でこんな風に生きたいものです。

この作品で一番好きなシーンである、もう一つのワイングラスに乾杯をする最後の場面。
このお爺さんは寂しいとかの次元にはもういないんだろうと感じました。
いい思い出と共に残りの人生を楽しむ。とても理想的。
このお爺さんが羨ましく感じたと同時に、自分はどんな余生を生きるのだろうかと少し焦燥感に駆られました。

思い出にしろ、写真にしろ、環境問題にしろ「今」が先の未来に繋がってしまう。
大切に生きようーっと。

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